山道の自販機
深夜、友人と二人でドライブしていた。
山道を走っていると、ぽつんと古い自販機が立っていた。
周囲には何もない。
民家も店もない。
なのに、その自販機だけ明かりが点いている。
妙に気になった。
喉も渇いていたので車を止めた。
近づく。
かなり古い。
ラインナップも変だった。
見たことない缶ばかり。
しかも全部ラベルが色褪せている。
友人が笑いながら、
「やばそう」
と言った。
だが一つだけ普通のコーヒーがあった。
百円を入れる。
ガコン。
商品が落ちる。
取り出した瞬間、違和感があった。
異常に冷たい。
缶を見た。
賞味期限がない。
代わりに、小さい文字が刻まれていた。
「帰らない人へ」
その瞬間、後ろで友人が小さい声を出した。
振り返る。
さっきまで無人だった道路。
少し離れた場所に、男が立っていた。
真っ暗で顔は見えない。
ただ、じっとこっちを見ている。
嫌な感じがして車へ戻ろうとした。
その時、自販機の奥から音がした。
「ガコン」
誰も買っていないのに。
取り出し口を見る。
また缶が落ちていた。
今度の缶にはこう書かれていた。
「もう遅い」