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ヒトコワ

深夜の訪問者

2026年5月14日

一人暮らしを始めて半年くらい経った頃だった。

仕事柄、帰宅時間はいつも遅かった。
その日も終電近くで帰宅して、シャワーを浴びて、適当に動画を流しながらベッドへ横になっていた。

時刻は深夜1時半くらい。

その時、インターホンが鳴った。

「ピンポーン」

こんな時間に誰だと思った。

宅配の時間でもないし、友人が来る予定もない。

モニターを確認する。

若い女だった。

20代前半くらい。
白いパーカーを着ていて、スマホを片手に持っている。

少し困ったような顔をしていた。

「すみません、部屋間違えちゃって…」

スピーカー越しに小さい声が聞こえた。

正直かなり警戒したけど、見た感じ普通だったし、本当に困ってる感じだった。

「何号室ですか?」

と聞くと、

「305です…」

うち302なんだけど、確かにこのマンション、部屋番号が少し分かりづらい。

「隣ですよ」

と言うと、女は安心したように笑った。

「すみません、ありがとうございます」

そこで会話は終わった。

その後、隣のインターホンが鳴る音も聞こえた。

だから特に気にしていなかった。

次の日。

仕事から帰ると、ポストにメモが入っていた。

白い紙に手書きで、

「昨日はありがとうございました」

と書いてある。

少し気味悪かったけど、まあ律儀な人なんだろうと思った。

問題はその下だった。

小さく、

「いつも帰るの遅いんですね」

と書かれていた。

ゾッとした。

確かに帰宅は遅い。
でも、それを知られる理由がない。

その日から、妙なことが増えた。

仕事帰り、マンション前で視線を感じる。

エレベーターに乗ると、誰かが降りた後みたいに香水の匂いが残っている。

深夜、ドアの前で物音がする。

でも確認しても誰もいない。

数日後。

休日で昼まで寝ていた時、スマホが鳴った。

知らない番号だった。

出る。

無言。

「……もしもし?」

数秒沈黙して、女の声がした。

「今日、お休みなんですね」

その瞬間、全身が固まった。

カーテンの隙間を見る。

マンション向かいの駐車場。

白いパーカーの女が、こっちを見ていた。

しかも笑っていた。

警察へ相談して、その後すぐ引っ越した。

でも今でもたまに、知らない番号から無言電話が来る。

そして切れる直前、必ずこう聞こえる。

「今日は帰るの遅かったですね」

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