隣の席

高校二年の時、クラス替えがあった。

自分の席は窓側の一番後ろ。

隣には大人しい女子が座っていた。

ほとんど喋ったことはない。

ただ、その子には変な癖があった。

授業中、ずっとノートへ何かを書いている。

毎日。

ずっと。

ある日、気になって横から少し見えた。

自分の名前だった。

ノート一面に、びっしり自分の名前が書かれている。

怖くなった。

だが本人へは何も言えなかった。

その数日後。

その子は学校へ来なくなった。

先生から説明がある。

「転校しました」

それだけだった。

でもおかしかった。

昨日まで普通にいたのに、急すぎる。

その日の放課後。

机の中にノートが入っていた。

あの子のノートだった。

開く。

全部、自分の名前。

最後のページだけ、文章が書かれていた。

『やっと隣になれた』

意味が分からなかった。

その時、後ろからクラスメイトが話しかけてきた。

「それ誰のノート?」

事情を説明すると、相手が変な顔をした。

「いや、お前の隣、最初から空席だったじゃん」