消えたトンネル
大学時代、友人三人でドライブしていた時の話。
その日は特に行く場所も決めず、深夜の山道を適当に走っていた。
時刻は夜中の二時過ぎ。
コンビニも街灯もない道だった。
運転していた友人が、
「この先に近道ある」
と言って、細い脇道へ入った。
舗装はされているけど、かなり古い道だった。
ガードレールも所々壊れている。
そのまま十分ほど進むと、古いトンネルが見えた。
コンクリート製で、かなり古そうだった。
入口の上には何も書かれていない。
照明もない。
ただ真っ暗な穴だけが口を開けていた。
正直かなり嫌な感じがした。
でも引き返す方が面倒だったから、そのまま進んだ。
トンネルへ入った瞬間、車内の空気が変わった。
異様に寒い。
エアコンは切っている。
なのに、息が白くなるくらい冷えている。
しかも、妙に長い。
車で走っているのに、全然出口が見えない。
すると後部座席の友人が突然言った。
「今、誰かいた」
全員固まった。
「どこ?」
「左側」
冗談っぽく言っている感じではなかった。
運転手が少し速度を上げる。
その瞬間だった。
バックミラーへ、白い顔が映った。
後部座席の窓の外。
女だった。
長い髪。
真っ白な顔。
しかも車と同じ速度で横にいる。
悲鳴を上げそうになった瞬間、トンネルを抜けた。
外へ出た途端、寒さも消えた。
全員無言だった。
空気が重い。
そのまま山を降り、コンビニへ入った。
落ち着いてから、さっきの場所を地図で確認しようとした。
だが、トンネルがない。
ナビにも表示されない。
不思議に思って地元の友人へ聞いた。
すると変な顔をされた。
「その辺、昔トンネル崩落してるよ」
十年以上前に事故で閉鎖されたらしい。
しかも、その事故。
中に取り残された人がいたという噂が残っていた。
その話を聞いてから、全員でドライブ動画を確認した。
途中までは普通だった。
だがトンネルへ入った瞬間から映像が乱れ始める。
ノイズ。
音飛び。
そして最後。
出口付近のフレームだけ、一瞬はっきり映っていた。
道路脇に、女が立っていた。
しかも、全員こっちを見て笑っていた。